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風営法コラム
2021.05.18

082.コラム ~ 守れないルール

風営法関係の相談にのっていると、世間一般の方々から<私の順法精神>について疑念を持たれるような
発言をついしてしまうことがありまして、定期的に自分の感覚を調整する必要が生じます。

風営法の世界はいろいろと<特殊な事情>がからむことが多いのですが、だからと言って
不用意な発言は重大な誤解を生む恐れがあります。

ルールを全部守っていると信じている人が多数所属しているであろう大企業においては、
ルールは守っていて当然、守れない人とは付き合わない。

ならば、私なんぞの発言にはときに、私自身の立場を追い込むリスクが潜んでいるので、
大企業の皆様を相手にするときはとりわけ発言について慎重になります。

そういう世の中なんだなとこれまで眺めてきたのですが、ここにきて「おや?」と思う現象が
出現しています。
特措法にもとづく施設使用制限や営業時短要請に従わない事業者に対しては命令が発せられる仕組みです。
命令に従わないと過料とは言え罰則が科されます。

つまり要請無視は罰則対象となる一歩手前の段階であって、コンプライアンス的には当然NGとなります。

そういったコンプライアンス違反行為が、それなりに名の知れた企業でも検討され、一部では現に行われてもいる。

世の中全般で、特措法の措置について懐疑的な心情が芽生えていて、要請を無視し、さらには命令を無視しても
「別に悪いことではない」といった心情。

それは「法律を無視してもよい場合がある」という方向へ今後展開しうるわけです。

普通の人が守れないルールは作ってはいけない。

誰が言ったか言わなかったか知りませんが、これは真実だと思うのです。

米国では禁酒法の時代に順法精神が低下したという説がありますが、順法精神の低下は治安や社会秩序に徐々に
影響を及ぼすでしょう。

この国のコンプライアンスにおいて重大な局面に来ているのではないかとも観察できるのですが、
みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

 

風営法研究会
研究員 日野孝次朗

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