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けんぱちコラム
2012.09.18

009「99%といってもいろいろある。精度、感度、特異度、的中度」

「99%の精度です」というときそれが感度、特異度を指しているのか、的中度を指しているのかで実感はだいぶ異なってきます。
臨床検査の信頼度を評価するのには、「感度」と「特異度」とがあります。
ある病気に罹患していることがわかっている集団に対して臨床検査を行ったとき、病気であること(陽性)を示す割合が「感度」で「真の陽性率」ともいいます。 
一方、その病気に罹患していない集団に検査を行ったとき、病気でないこと(陰性)を示す割合が「特異度」で「真の陰性率」です。
ダウン症の血液検査で精度99%と紹介されているのはおそらく感度98.6%、特異度 99.8%の論文のことだと思いますが、仮にいずれも99%だとしたとき、 すごくよくあたる検査かというと「99%」の数字の響きとはだいぶ違います。
たとえば、その病気(障害)がだいたい0.1%の確率で現れるとすると、ざっくりいえば1000人中999人は病気(障害)ではないわけです。 そしてその病気(障害)ではない999人のうち1%、つまり10人近くが病気(障害)だと間違って判定されるわけです。
一方、ざっくり1000人中一人の病気(障害)の人は99%陽性。
つまりあくまでざっくりした話ですが、1000人調べると陽性が11人でてきて、そのうち一人だけが本当に病気(障害)であるわけです。
つまり検査で陽性が出たとき、本当に病気や障害であるのは11人中一人、10%に満たないわけです。
これはあくまでもざっくりした計算ですが、感度、特異度、陽性的中度(検査で陽性が出たとき、本当に病気や障害である確率)は そもそもの出現頻度が小さいとき印象が大きく異なることは知られているので、そのあたり、精度云々の話が出てきたときには数字を うのみにせずとらえるようにしましょう。

諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授のブログより(2012年)

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