研究会
けんぱち研究会
TOP>けんぱち研究会TOP>けんぱちコラム>013「笑ったもの勝ち」
けんぱちコラム
2012.11.19

013「笑ったもの勝ち」

1990年ころ顔面フィードバック系の実験が盛んに報告されました。
たとえばストラックらは被験者にペンを口にくわえさせた状態で漫画を読んでもらいました。
このとき唇でくわえながら漫画を読む場合と、歯でくわえて読む場合では漫画の面白さが大きく異なったことを報告しています。
またザゾンクらは、ドイツ語の ü という母音を多用したテキストを読む場合と、そうではないテキストを読む場合では、 üの多いテキストの方が否定的な感情を呼び起こしやすいことを報告しています。
üという母音は口をすぼめて発音するのでしかめっ面に近くなります。
ペンを唇でくわえた場合も口がすぼまってちょっとすねた顔になってしまいます。
でも歯でペンをくわえると口角が勝手に上がって笑い顔に近くなるので楽しくなるのです。
実際、この表情の時、脳の奥で快感にかかわるドーパミンの分泌が増すことも報告されています。

わたしたちは楽しいから笑うのはもちろんですが、笑うから楽しくなるという側面も強く持っているのです。
つまらなそうな顔をすると世の中つまらなくなりますし、笑い顔をつくるだけで世の中が楽しくなって前向きになれたりもするのです。
また誰かがニコニコすると、まわりの人もつられてニコニコしがちです。
わたしたちの脳には周りの人の動作や気持ちを鏡のように写し取る脳細胞(ミラーニューロン)がありますから、笑いは伝染し、楽しい気持ち、 前向きな気持ちも伝染するわけです。
とりあえず笑っておくと何かとお得です。

諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

記事一覧へ戻る
PAGETOP