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けんぱちコラム
2013.09.24

028「人は睡眠中に”うまくなる”」

キーボードをある順番でたたくのを練習して記憶してもらい、12時間後にテストすると、外国語の単語記憶などとは違って多少はうまくなる (ある実験では3%程度)。しかし、なんと間に睡眠を挟むと20%程度成績が向上することが知られている。
またジャグリングの学習後、すぐに寝かせたグループは寝かせなかったグループより好成績を保つことも知られている。
つまり「寝ている間にうまくなる」のだ。

ピアノの場合も稽古後に睡眠をとると、ピアノ演奏のスピードや精度が改善する。
↓の研究ではこの成績改善と睡眠中の補足運動野由来のδ波やσ波の亢進が関連することが示された。
δ波(デルタ波:徐波)は補足運動野とその他の脳領域の連結性の変化にかかわり、σ波(シグマ波:紡錘状波)は補足運動野の変化と関連するらしい。
つまり補足運動野も補足運動野と他の脳部位との連結も睡眠中に変化し、それが技の改善につながるわけだ。
脳細胞が新しいつながりをつくるプロセスではグルタミン酸によるスパイン(脳細胞に出来るコブ、他の細胞とつながるシナプスとなる)の巨大化と、 逆にGABAによるスパインの委縮、削除が重要で、GABA優位な活動が睡眠中に生じやすいことがこの現象とかかわるらしい。

Enhanced Spontaneous Oscillations in the Supplementary Motor Area Are Associated with Sleep-Dependent Offline Learning of Finger-Tapping Motor-Sequence Task. The Journal of Neuroscience, 21 August 2013, 33(34): 13894-13902; doi: 10.1523/JNEUROSCI.1198-13.2013

諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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