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けんぱちコラム
2014.12.16

043.栄養、運動、頭、コミュニケーション、心臓病

このコラムでは頭の働きの低下予防や認知症の予防に、
頭を使うこと、
体を動かすこと、
野菜魚が豊富なバランスのいい食事をとること、
生活習慣病の予防や治療をすること、
が役立つとお話ししてきました。

しかしこうした指摘は疫学的データといって、こういう生活習慣をとる傾向が強い人で頭の働きの低下が小さいとか、
認知症が少ないとかいった研究結果に基づくもので、
実際、ある人たちには栄養指導、身体運動、認知機能訓練、社会的活動を行い、心臓病の危険因子の管理を行っていき、
それを行わない人と比較するといった臨床試験的結果に基づくものではありませんでした。

しかし、スウェーデンのカロリンスリカ研究所のミイア・キヴィペルトらは、
認知機能障害とアルツハイマー病のリスクを持った人たち(あまり頭を使っていない、あまり運動していない、
社会参加していない、食事のバランスが悪い、心臓病のリスクを抱えている人)
60歳から77歳までの1260人について、グループを二つに分け、
一つのグループは、栄養指導、身体運動、認知機能訓練、社会的活動、心臓疾患の危険因子の管理などの介入を行い、
もう一つのグループは通常の健康相談を続けました。
2年間の介入の結果、介入グループは、記憶検査、実行機能(計画、判断、問題解決といった複雑な思考)および
認知機能の速度で対象グループより有意に良好でした。

キヴィペルト氏らは今後もこの研究を継続するそうですが、頭を使うこと、体を動かすこと、野菜魚が豊富な
バランスのいい食事をとること、生活習慣病の予防や治療をすることは皆さんの頭を守るうえで
やはり役立つというわけです。

A Multidomain Two-Year Randomized Controlled Trial to Prevent Cognitive Impairment – the FINGER study

諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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