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けんぱちコラム
2015.04.21

047.脳から見た「広告、設備等規制」

広告及び宣伝の内容が、著しく射幸心をそそるおそれのある行為が行われていること
又は風営法違反の疑いのある行為を行っていることをうかがわせる場合は、
風営法第16条による規制の対象となることは、みなさん、よくご存じの通りです。

そして、
(1)入賞を容易にした遊技機の設置をうかがわせる表示、
(2)大当たり確率の設定変更が可能な遊技機について設定状況等をうかがわせる表示、
(3)賞品買取行為への関与をうかがわせる表示、
(4)遊技客が獲得した遊技球等の数を示し、これに付随して賞品買取所における買取価格等を直接的又は間接的に示す表示、
(5)著しく多くの遊技球等の獲得が容易であることをうかがわせる表示、
(6)風営法第19条の遊技料金等の規制等に違反する行為が行われることを直接的又は間接的に示す表示、
(7)遊技の結果について客の技量により差異が生じる余地をなくしていることをうかがわせる表示、
は、「広告、設備等規制」違反に該当するとみなされていることも周知のことと思います。
この規制を脳から見ると、何らかの表示によって客の「やる気」に深くかかわる線条体(あるいはドーパミン神経系、報酬系)
の活動を過度に高めることを規制していると解釈できます。
脊椎動物など移動する力を持った生き物は、移動する力をよりよい報酬を求めるために使ってきました。
おいしい食べ物が得られる、異性と性交渉できる、よりよい報酬を求めて移動する力を持つと生存上有利で、
子孫を残す確率が高まる。
世代を重ねると、報酬を求め移動する力が強化され進化していく。
そうして獲得され強化されてきたのがドーパミン神経系であり、線条体です。
線条体は運動のコントロールや運動の開始に関係する大脳基底核の一部で、その腹側には側坐核という快感の中核も持ち、
報酬系であるドーパミン神経系がアクセスしています。
線条体は行動と快感を結びつける場所であり、単に報酬に反応するだけではなく、報酬を予測して活動します。
「○○をしたら」「報酬が得られた」、「○○をしたら」「報酬が得られた」、「○○をしたら」「報酬が得られた」が
繰り返されると、「○○しようかな」と思っただけで線条体が予測的に活性化します。
あるいは「サルにサインを送り、そのサインと結びついた芸をしたらえさを与える」を続けると、
サルのドーパミン神経系はサインを見ただけで活動を高め、線条体が活性化します。
これが「やる気」の正体です。
仕事に対するやる気、勉強に対するやる気、モチベーションを高めようというときのモチベーション、
みな線条体の活性化がその正体であり、「射幸心」もまた「やる気」と同じメカニズムを持っています。
では「広告、設備等規制」は「やる気」一般を規制しているのでしょうか。
「やる気」と「著しく射幸心をそそる」を区別するものは何なのでしょうか。
その答えが「広告、設備等規制」です。
「広告、設備等規制」は金銭に直接的に結びつくサインの表示を禁じ、遊技機の性能変更をにおわせるサインの表示を禁じ、
設定状況を暗示することを通して線条体を刺激することを禁じています。
つまり、同じ線条体の刺激であっても、金銭との結びつきや性能変更等を暗示しての線条体刺激は取り締まり対象であると
言っているわけで、それ以外のお客様の線条体刺激は禁じてはいません。
ぱちんこが明日の活力の源であるのは客の線条体を刺激するからです。
高齢者になるほど「やる気」の刺激が脳を守るうえで重要になります。
脳や身体の機能回復では「やる気」を高めることこそ重要です。
「ぱちんこ営業における広告、宣伝等に係る風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の取締り等の
徹底について(通達)」は許される線条体刺激と許されない線条体刺激を明示した通達ですから、
よく読み込み、その範囲でお客様の線条体を刺激し、お客様の生活の質の向上に寄与しましょう。

諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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