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けんぱちコラム
2022.08.30

134.10年の依存研究でわかったこと、その③

前回のコラムの続きです。
遊技障害(パチンコ・パチスロでのギャンブル等依存)研究について、Q&A形式で紹介します。

Q:パチンコ・パチスロに依存しやすい人に年齢や性別など特徴や傾向はありますか?
 地域や勝っている人負けている人など。
A:都市部と地方との差を指摘する論文もありますが、効果量は小さく差はないと考えていいと
  思います。若い人の方が依存しやすい傾向がよく指摘されますが、これとて効果量が小さく
  影響とは呼べないレベルです。勝ち負けの影響は直感的にありそうですが、われわれのダイ
  ナムとの共同研究では、やはり効果量が小さく、影響があるとは言えません。

Q:パチプロは依存症なのでしょうか?
A:ちがいます。職業的ギャンブラーはDSM-5のギャンブル障害の基準では除外されています。
  ICD-11でもそう解釈するのが一般的だと思います。

Q:パチンコ・パチスロ依存症の人はもともと何かに依存しやすいのでしょうか?パチンコをやめても
  競馬、お酒などに依存してしまうなど。
A:報酬不全症候群説といって、ドーパミンのD2受容体の型により依存しやすさがあるという考え方が
  ありますが、はっきりしません。一方、ギャンブル障害の遺伝率が双子研究で調べられていて、
  ギャンブル障害得点のちらばりの50%程度は遺伝要因で説明できます。
  個の遺伝率は性格と同等で、性格程度には依存しやすさがあると考えられます。
  またわれわれの研究でぱちんこでのギャンブル障害の発生や増悪には神経症傾向(敵意、不安、
  うつ、衝動性、自意識、傷つきやすさ)が強くかかわることがわかっています。

Q:自身への注意として「この傾向が出ると依存の危険性があるから注意して」というサインなどは
  ありますでしょうか?
A:上記の神経症傾向、自分ではパチンコのコントロールができない、という思い込みが依存の開始や
  層悪にかかわります。その予防には以下の健全遊技の指標が有効と思われます。
 「自由に遊んでいいときに遊びましょう」
 「失っても構わない範囲でパチンコ・パチスロをしましょう」
 「他に優先すべきことがある時はそちらを優先しましょう」
 「どこまでお金を使って良いか決めてから打ちましょう」
 「家族や友人に対して嘘やごまかしなくパチンコ・パチスロをしましょう」

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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