けんぱち研究会
《「ショート動画依存症」は依存症とは言えない》
以前、縦コンテンツと横コンテンツの比較をした結果、縦コンテンツの方が特に注意が関連する脳部位で
活動が持続しやすく、視線も集中しやすくなっていました。
いまやマンガも縦スクロール化しつつあるらしく、スマホ(縦長)コンテンツでは、縦コンテンツが耳目
を引きやすいということだと思います。
また、注意力は長くは続かないので、短いコンテンツが中心になることは当然の帰結ですし、その分、
多数のコンテンツをサーフすることになるのも必然だと思います。
たしかに、これらは一過性のハマりには寄与する要素であり、「ショート動画依存症」等と言いたくなる
のもわからなくもありませんが、これまで繰り返し述べてきたように、ギャンブル、ゲーム、その他行動
への「依存症」(正確には障害)と呼ぶためには、以下の条件が必要です。
①その行動のコントロールが効かない
②その行動の優先順位が必要な行動を上回る
③生活上、仕事上、学業上の良くない出来事が続いているのに、その行動が継続拡大
以上、①②③のすべてが一年以上満たされており、かつ、重要な生活領域での重大な障害や謙虚な苦痛が
生じている場合のみ、「障害」「依存症」と呼べます。
ですから、ここにいう、「ショート動画依存症」は依存症とは言えません。スマホ依存症なども同様ですし、
日本でのゲーム依存症、ギャンブル依存症の乱用も同様です。
「脳が~になってしまう」というのも、夢中になっている対象で遊んでいる時と、そうでもない対象を
している時では、脳活動が違ってくることは当たり前です。
まあ、ギャンブル等依存症(gambling disorder)も同じです。基本、依存「症」と騒ぎすぎです。
公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授