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風営法コラム
2024.08.19

118.コラム 風営法万歳! ~ 管理者の兼任に関する規則改正

風営法施行規則の改正は頻繁に生じますが、今年6月の改正は風営実務において気になる改正内容なので、
重要と思うところを述べます。
私の認識違いがありましたらご容赦ください。なにしろ情報が少なくて困っているのです。

令和6年6月27日施行の改正風営法施行規則より抜粋

(風俗営業に係る営業所の管理者の選任)
第三十七条法第二十四条第一項の規定により選任される管理者は、営業所ごとに専任の管理者として
置かれなければならない。ただし、一の風俗営業者に係る二以上の営業所において、当該二以上の
営業所が相互に接し、その間を客が自由に往来できるものであつて、かつ、当該二以上の営業所を
通じて一人の管理者を置くことにつきそれぞれの営業所における第三十八条に規定する管理者の業務
の適正な実施に支障がないものとして当該二以上の営業所の所在地を管轄する公安委員会(当該公安
委員会が二以上あるときは、当該二以上の公安委員会)の承認を受けたときは、専任の管理者を置く
ことを要しない。

以上

解説します。

風俗営業店では管理者を必ず一名選任しなければならず、管理者には身分欠格要件があり、
選任後に公安委員会が身分欠格要件該当性をチェックします。
また、管理者は管理者講習の参加と管理者業務の遂行が義務付けられており、
これがなかなかの負担となります。

こういう事情なので、営業所ごとに管理者を選任するのが一苦労ですから、同一人経営の営業所が
隣接している場合には、一人の管理者で二店舗の風俗営業所を兼任させてほしいということになります。
今回の規則改正はこれに関係しています。

次の場合に公安委員会の承認を受けた時は専任の管理者を置かないでよいという規定が規則に追加
されたのです。

(1)経営者が同じである営業所が相互に接し、
(2)その間を客が自由に往来でき、
(3)業務の適正な実施に支障がないものとして公安委員会の承認を受けたとき

以上の3つの要件を全部満たせば管理者兼任が可能と言うことです。

が、管理者の兼任については、かつて風営法解釈運用基準に次の記載があって、
これまでも一定の条件で認められてきました。

2つの営業所が接着しており、
双方の店を同時に統括管理することができ、
管理者の業務を適正に行い得る場合にあっては、
当該管理者を同一人とすることも可能である扱いとする。
以上

あいまいな表現になっているので都道府県によって運用に違いがでていましたが、
私が関わっていたケースでは、営業所同士が同一建物の同一フロア又は隣接フロアであれば兼任OK
という運用でした。

さて、今回の規則改正ですが、解釈によっては困ったことになるような気がするのです。

それは上述の(2)の<営業所間を客が自由に往来できなければならない>の部分です。

<物理的に簡単に往来できる状況>を表現しているのか、それとも<客がサービス料金を清算しないで
往来できる状況>を意味しているのか、私にはよくわかりません。

パチンコ店では玉メダルの持ち出しが禁止されているので、客が二店舗間を自由に往来できる場合が
あるだろうか?

さらに、<管理者の兼任について公安委員会の承認を受けたとき>とあるなかでの「承認」が実際に
どのように運用されるのかも謎です。

これについてわかりやすい説明が行政庁から示されていないからです。

そのうち新たな情報がでてくるとは思いますが、一時的とは言えこういう現象がある、という意味で
忘れないうちにここで述べておきます。

それから、もっと重大なことがありました。

風俗営業と特定遊興飲食店営業の許可申請の申請書式が変わっています。

それから、管理者の専任又は兼任の状況に変更があったときはその旨を変更届出書に記載することと
なりました。

 

 

風営法研究会
研究員 日野孝次朗

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