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けんぱちコラム
2014.06.17

037.不安は書き出せ!

  人前でプレゼンテーションとか、面接だとか、緊張する場面が多々ありますが、
そんな時は不安な気持ちを書き出すとよろしいようです。

シカゴ大のベイロックらは、大学生20名に数学のテストを二回受けてもらいました。
そして、1回目は「ベストを尽くすように」と指示し、
2回目のテストは「成績優秀者には賞金」「成績が悪ければ連帯責任」などプレッシャーをかけます。
1回目に比べ成績が12%下がりました。
プレッシャーが脳のメモ、ワーキングメモリの容量をある程度食ってしまい、
考える力が低下してしまうからだベイロックらは解釈しています。

ところで、ベイロックらは、この2回目のテストの前、半分の学生に10分間、
「試験に関する不安」を書きだしてもらいました。
すると不安を書き出した人たちはむしろ成績が5%よくなりました。
カウンセリング効果のようなもので、不安を吐き出すとワーキングメモリに空きが出来、
考えやすくなるからだと考えられます。

日本では中3にあたる高校生を対象にした実験でも、期末試験前に「テストについての気持ちを書く」群と
「テストと無関係のことを考える」群にわけたところ、
テストについての気持ちを吐き出した群の方が成績がよくなったそうです。
また、この傾向はもともと不安傾向の強い人ほど強かったそうです。

わたしたちは試験などで頭を使うとき、記憶や情報を組み合わせて答えを出すことをします。
この脳のメモを使うような機能をワーキングメモリといいますが、それにかかわる前頭葉背外側部の活動が、
不安傾向の高い人の方がタスク時に低下しがちになります。
ストレスや不安で脳のメモが使いにくくなるわけです。

しかしテスト前に不安について書くと、不安やストレスによって脳のメモが占領されてしまうのを
防げるようで、ベイロックによればこれは学校の試験に限った話ではなく、
仕事でのプレゼン、スピーチ、面接などの前にも不安を書き出すとよいそうです。

Ramirez G, Beilock SL. Writing about testing worries boosts exam performance in the classroom. Science. 2011 Jan 14;331(6014):211-3.

諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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