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けんぱちコラム
2021.01.20

115.「かゆい」と「かいてしまう」わけ

かさぶたはヒスタミンを誘導し、痒くなります。つい剝がしてしまい、その時は気持ちいいが、
なかなか治りません。
蚊に刺された跡が痒いときも、かきむしると気持ちいいが、治るわけではありません。

かゆいところをかきむしるとき、脳では何が起きているのでしょうか?
自分でかいたときと、ひとにかいてもらったときでは何か違うのでしょうか?

研究によると、自分でかいたときは、報酬系の活動がより高まり、より気持ちよくなり、
ひとにかいてもらったときより、痛みや不快感にかかわりやすい前帯状皮質および島の不活性化が
おきたそうです。
つまり、自分でかけば、気持ちよく、不快感が軽減するから、かいてしまうわけです。

この仕組みは、かゆみが強まると、痛みが抑制される仕組みとはどうやら逆に働くようで、
腹側被蓋を含む報酬システムは、水道周囲灰白質(PAG)を非アクティブ化することで
実現しているようです。

一方、かくと「痛みシグナル」が脳に伝わり、痛みを抑制します。
しかし、これがガストリン放出ペプチド(GRP)を介してかゆみを増強してしまい、
かくと気持ちいいが余計にかゆくなってしまうわけです。

Brain’s reward circuits mediate itch relief. a functional MRI study of active scratching.
Papoiu AD, Nattkemper LA, Sanders KM, Kraft RA, Chan YH, Coghill RC, Yosipovitch G.
PLoS One. 2013 Dec 6;8(12):e82389. doi: 10.1371/journal.pone.0082389. eCollection 2013.
PMID: 24324781

Descending control of itch transmission by the serotonergic system via 5-HT1A-facilitated
GRP-GRPR signaling.
Zhao ZQ, Liu XY, Jeffry J, Karunarathne WK, Li JL, Munanairi A, Zhou XY, Li H, Sun YG,
Wan L, Wu ZY, Kim S, Huo FQ, Mo P, Barry DM, Zhang CK, Kim JY, Gautam N, Renner KJ,
Li YQ, Chen ZF.
Neuron. 2014 Nov 19;84(4):821-34. doi: 10.1016/j.neuron.2014.10.003. Epub 2014 Oct 30.
PMID: 25453842

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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