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けんぱちコラム
2021.12.21

126.「遊技障害のおそれのある人」と臨床例等との乖離と予防について、その⑪

前回のコラムの続きです。

以下、遊技障害研究最終報告書、西村先生の論考からの引用です。

前述のように、世界の対策の潮流は、ギャンブリングの負の影響を公衆衛生の問題と位置づけ、教育、予防、
早期介入に重点を置いた対策を構造化させてきています。
従来のアルコールや薬物による依存症モデル(否認の病、進行性の病、第一の病、治癒の無い病という考え方と、
その考え方に基づいた介入、治療、回復支援)をギャンブリング問題の予防、早期介入、問題解決支援にそのまま
利用することは、治療的アプローチ内の一部の人では適合するかもしれませんが、全体からみれば、合理的では
ありません。その点からも、企業/産業が、RG指向の対策を行うことの意義は大きいです。

「依存症は否認の病であり、本人は相談しない」という日本の多くの援助職や援助機関の考えは、リカバリーサポート・
ネットワークが行う電話相談の相談者の80%がプレイヤー本人からであること(電話相談分析論文; 西村, 2019)から、
実際は思い込みに過ぎません。治療的アプローチで得られたデータや経験は、問題を抱えているプレイヤーを代表して
いるわけではなく、電話相談で得られたデータも同様に代表性は有していません。
日本の対策は、始まったばかりで、エビデンスも乏しく、まだ何もわかっていないという謙虚な姿勢から、問題の本質
を探究していかなければなりません。今ようやくスタート地点に立ったところです。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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