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けんぱちコラム
2024.02.20

152.もの忘れは記憶力の低下によるのか?

「人の名前が出てこない」「固有名詞が思い出せない」「漢字をイメージできるが書けない」
よくある話です。
このことは、歳をとってからの訴えなら、加齢による記憶力の低下と結びつけられがちです。
それもあながち間違いとは言えませんが、もしこの訴えを20歳の人がしたとすると、
どう解釈するでしょうか?

歳のせいとは言わないですよね。
この「人の名前」が歴史上の人物であり、「固有名詞」が歴史上の出来事だとすると、それが
「出てこない」「思い出せない」なら、もともとの勉強不足か最近の復習不足という評価が
妥当でしょう。
「漢字が書けない」なら最近練習していなかったからじゃないの?が当たり前でしょう。
ひるがえって、中高年、高齢者でも、そのもの忘れが、記憶力の低下によるのか、勉強不足に
よるのか、そう簡単には区別できません。

そうすると、もの忘れ対策として必要になるのは、短期的に記憶してそれをまた思い出す、
ワーキングメモリの力のトレーニングだけではなく、もう一回、勉強することです。
記憶というのは、たくさんの神経細胞のつながりによるネットワークです。
このネットワークは、思い出す、それを使って考えるなど、神経細胞のつながりの中に
電気信号を通さないと、つながりが弱まります。
引っ越す前の住所や電話番号が思い出せなくなるのは、使わない期間が長く、つながりが
弱まったからです。

ですから、もの忘れが気になったら、まずは記憶する努力をして下さい。
何でもかんでも覚えておく必要はまったくありません。
今後の人生、覚えておきたいと強く思えたことなら、しっかり復習しましょう。
それがまたワーキングメモリのトレーニングにもなります。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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