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風営法コラム
2014.04.01

006.コラム 風営法万歳! ~ どうせやるなら意味がある方法で

法令遵守の研修に対しては「規制の内容を知っとけばいいんでしょ」と思われる傾向がありますが、
それだけでは法令遵守は実現できません。

本当に意味のある法令遵守を実現するのであれば、それに適した「仕組み」が必要です。
「仕組み」なしに全員に風営法を理解させる研修を行っても効果を期待できません。
「知っている」と「やっている」の違いは大きいです。

風営法でもそのことは想定されていて、風俗営業者は全て店舗ごとに管理者を選任し、
規則で定められた業務を行う義務があります。
では、その業務の内容についてご存知ですか?

弊社では以下のWEBサイトでホール営業用のコンプライアンステストを設置していて、
誰でも何度でも無償でご利用になれます。

ホール営業の風営法テストとコンプライアンスチェック
http://nozomi-soken.jp/test-a01.html

これらの回答結果(誰が回答したかは判別できません)から分析すると、管理者がどのような業務を
行うべきかという点について、ほとんど理解されていないようです。

このコラムをお読みのあなた。
管理者が行うべき業務を5つ以上言えますか?

では、ご参考までに以下に列挙します。

・従業者名簿の作成管理
・苦情の処理
・経営者への助言
・従業員の指導計画を作成し、指導し、その記録を作成すること
・構造設備の点検とその記録の管理
・遊技機の点検とその記録の管理
・委託業務の契約内容、履行状況その他の点検と記録の管理
・年少者の立ち入りを防止するための必要な措置を講ずること

特に誤解されているのは、
「苦情の処理」
「従業員の指導計画を作成し、指導し、その記録を作成すること」
「委託業務の契約内容、履行状況その他の点検と記録の管理」
の3点です。

「苦情の処理」は営業停止等の処分に影響する恐れがありますし、最近は特にお客様とのトラブルが
きっかけとなって大きな違反処分につながる事例が増えていますので、苦情対応はその初動から慎重
に対応するだけでなく、こと細かく記録を保存することが重要です。

「従業員の指導」については、私の経験ではほとんど行われていないと思っています。
いや、まったく行われていないわけでないのですが、指導計画やその記録管理がなされていないです。

つまり、思いつきの研修を行い、研修後はほったらかし、という状況が多いと思いますが、
これでは風営法のどの部分が理解不足か、現状の問題点はどこか、といったことが分析できませんから、
将来どのようなトラブルが起こりえるかも予想がつかないということです。

「委託業務・・・」については、よく「広告を業者に任せたからウチに責任ないよね」といった
恐ろしい誤解があるように、ほとんど意識されていない様子です。

「第三者がやったことなら自社に責任がない。」ということならば、管理者の業務として「委託業務の管理」
を含めるはずがないし、風営法はそのような無責任を見逃す制度にはなっていません。

と、このように管理者の業務はおろそかになりがちですが、最近は一部の行政庁で管理者業務の内容を
確認するようになってきています。

ただ残念なことに、「行政庁に見せるための書類作り」、しかも、どの店も判を押したように同じ内容で
あったりして、誠に意味の無い管理者業務の真似事で終わってしまっているケースが多いと勝手に想像
しています。

そもそも風営法だけを意識した管理者業務など、現実には意味がないと私は思います。
どうせやるなら、接客マナーや基礎法務、労基法、ハウスルールなども含めた総合的な研修を行えばよいものを、
なぜか風営法だけをとりあげた研修計画など、本気で行えるものでしょうか。

そういうわけで、本来やらねばならないことはやれず、見せ掛けだけの真似事はやらされてしまうという現象が
起きてしまうことになります。

そういうムダをなくして、本当に意味のある、前向きなコンプライアンス体制をきづいていただきたくて
研究会を続けています。

風営法研究会
研究員 日野孝次朗

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