風営法研究会
ホールから広告に関するご相談で「○○をやっても大丈夫ですか?」と聞かれることがあります。
「こんな広告を打っても大丈夫ですか?」
「こういうイベントをやっても大丈夫ですか?」
さて、「大丈夫」とはどういう意味でしょう。
法律に違反しない?という意味でしょうか。
処分を受けない?という意味でしょうか。
それとも、何か困ったこといなるリスクがある?という意味でしょうか。
リスクは、「起きてほしくないこと」という意味でしょう。
人が生きて判断した結果、「将来嫌な事が絶対に起きない」とは考えられません。
リスク判断は程度の問題なのです。
ですので、「どの程度のリスクなら受け入れる、又は受け入れない」といった考え方が必要になります。
ならば、パチンコ店が広告宣伝をした場合にどのようなリスクがありえるのか。
もっとも気になるのが風営法違反ですが、風営法では、
「風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。(第16条)」
とあります。
「清浄な風俗環境を害するおそれ」がまったく無いと断言できる広告宣伝がありえるでしょうか。
そして違反すれば指示処分、悪くすると営業停止処分がありえます。
しかし、チラシを見ただけで、将来そのホールがそのチラシにまつわるどのような広告宣伝活動を行うかを、私が予想できるはずがありません。
つまり私としては、広告宣伝についてご相談を受けた場合に「あなたのお店が将来風営法に違反する可能性はゼロですよ。」と断言することはできないのです。
さらに重要なことは、「法令違反だけがリスクなのではない」ということです。
客やライバル店が誤解して警察に通報することもリスクですし、その地域を所管する行政担当者が風営法について「勘違い」することもリスクです。
その地域の同業者が決めた自主規制があれば、たとえ法令違反でなくとも「やめろ!」と言ってくるでしょうが、地元の同業者から文句を言われることもリスクでしょう。
そういうことが積み重なって「良くない印象」をもたれることもリスクです。
そうだとすれば、あとはそれらのリスクを受け入れるかどうかですが、それは他人が決めることではありません。
私としては、「これで処分を受けたらどうなるでしょう?」とか、「実はこういう自主規制があるんですが・・・」、「自分は合法だと思うが行政ならどんなふうに解釈するか?」といったような具体的な問いかけがほしいところです。
「やっても大丈夫かどうか決めろ。なに!?大丈夫とは限らないだと。じゃあ他の店はなぜやってるんだ!」
こういうご質問をする人は、法令リスクの基本中の基本がご理解されていない状態なので、私としては誤解されるのが怖くて本音をお話できません。
ですので、法的判断を冷静に行える程度の基礎的な理解を育てるためにも、風営法研究会では人材育成に励んでゆきたいと思います。
風営法研究会
研究員 日野孝次朗