風営法研究会
「パチンコは賭博営業ですか?」
風営法研究会
こんな、ドキッ!とする質問をされたら、どのようにお答えになりますか?
私なら、こう答えます。
「私は賭博ではないと考えますが、少なくとも賭博罪ではありません。」
さて、この意味をご理解いただけるでしょうか。
そもそも、「賭博とは何か」を説明できますか?
これを風営法の研修で質問すると、「ギャンブルです。」とか「お金を賭けることです。」など、
いろいろありますが、まともに答えられる人は少ない方です(我が風営法研究会の人ならしっかり答えられます)。
私にとっても簡単なことではありません。なにしろ、法令の中で「賭博」の定義がないのです。
しかし、昔の判例などを見ると「偶然の勝敗により財物の得失を決すること」という意味の
ことが書かれています(実際はもっと難しい単語が使われています)。
偶然の勝敗で得したり損したりする行為が賭博なのです。
では、パチンコ営業はどうかと考えると、偶然だけで勝敗が決するわけではありません。
これが技術介入性という概念です。ハンドル固定がNGという話にも関係します。
しかし、「技術介入性があるから賭博ではない」とまでは言い切れません。
解釈はいろいろありえるということなので、「私は賭博ではないと考える。」というセリフになります。
ところで、「賭博をしている=賭博罪」と考えていたとすれば、それは間違いです。
刑法第185条をよくご覧ください。
賭博をしていても、一時の娯楽に供する物を賭けたにすぎないときは罰しない、となっています。
つまり犯罪にはなりません。
パチンコ店では「一時の娯楽に供する物」しか提供していないので、仮に賭博が行われていたとしても
賭犯犯罪は起こらないということです。
そして、パチンコ営業で賭博罪が生じないように、風営法で様々の規制が定められています。
これが「賭博と一線を画する規制」として講話の度に口すっぱく強調されてきた言葉です。
そんなことはわかっている? そうでしょう。
あとはこの話を堂々と人に説明できるかどうかです。
研究員 日野孝次朗