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風営法コラム
2017.12.05

047.コラム 風営法万歳! ~ 大手居酒屋チェーンが風営法違反で書類送検

有名な居酒屋チェーンを経営する大手企業が、居酒屋店で深夜0時以降に客引きをしていたとして
風営法違反容疑で書類送検されたというニュースがありました。

居酒屋店は深夜酒類提供飲食店として公安委員会に営業開始届を出している場合が多いのですが、
これは風俗営業とは別の営業なので、取り締まりに対する事業者側の感覚がホール業界などとは
かなり違います。

届け出営業とはすなわち、法で定められた書類を公安委員会に提出すれば誰でも営業してもいい、
というタイプ。許可なしには営業を開始できないタイプである風俗営業との違いです。

このニュースの件では、従業員が深夜に客引きをしていたということです。
実は、届け出が必要である深夜酒類提供飲食店に限らず、夜0時を過ぎて営業しているすべての飲食店は
風営法の規制を受けています。

牛丼屋も寿司屋もファミレスもしかりです。
キャバクラやパチンコ店と同じく、構造設備維持義務もあるし、客引きも禁止されています。

最近は居酒屋さんでも、通行人が眉をひそめるような強引で大胆な呼び込みが目立つようになっていて、
キャバクラの客引きに比較して「そろそろ危ないな」と思っていたところでした。

「他の店もやっているから大丈夫。警察が動くはずないよ。」

「その日」が来るまでは、そんな感覚が普通ですし、このニュースがきっかけで客引きが沈静化
するわけでもないでしょう。
ただ、大手企業であってもこういった結末を予防できないという現実が、私の関心事です。

普通の飲食店経営者の感覚としては「たかが客引きでしょ。」
でも刑事罰と営業停止2月です。

パチンコ店が少々客引きしても、いきなり摘発はちょっと考えにくいのですが、飲食店の場合は少し状況が異なります。
客引きに対する事業主の本気度、又は積極性が違います。

一方で一般市民にしてみれば、キャバクラもバーも居酒屋も、迷惑の度合いとしては大差ないでしょう。

大手だからこそ未来予測が難しいということはあります。
保守的な感覚の人ほど、前例のないことを事前に認識することが難しいからです。

よって、こういったことはある程度避けがたいことではあります。
むしろ、今後の再発防止策が気になるところです。

現場には現場の論理と感覚があって、「気を付けろ」の掛け声だけで簡単に変わってくれるものではありませんもの。


風営法研究会
研究員 日野孝次朗

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