研究会
風営法研究会
TOP>風営法研究会TOP>風営法コラム>069.コラム ~ 健康増進法違反で指示処分になるのか?
風営法コラム
2020.01.14

069.コラム ~ 健康増進法違反で指示処分になるのか?

健康増進法改正にともなって分煙しようか、どこに喫煙室を置こうか、といった検討をされている
ホールも多いと思います。

そこで気になってしまうのは、もし健康増進法に違反したらどうなるのか。

行政罰としての過料で最高50万円。これはすでにご存じでしょうね。

改善指導に従わない場合に、という前提付きだし、管轄は厚生労働省、実態としては保健所となります。

こう言ってはなんですが、ホール事業者にとって恐ろしいのは、風営法、つまり警察でして、
公安委員会による行政処分が一番気になる。

で、「禁煙しないと営業停止とかになるんですか?」という疑問も出てくるわけですが、実際どうなのか。

風営法に基づいて風俗営業者に対して行われる営業停止や指示などの行政処分は風営法の25条と26条が
根拠となります。

風俗営業者がその営業に関して法令に違反した場合に、この規定にもとづいて公安委員会は指示や営業停止
などを命じることができる。

「法令」の中には風営法以外の法令もまじるので、健康増進法も法理論上含まれるということです。
が。。。。

さらにもう一つの要件として、

「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれが
あると認めるとき」

という一文がつきます。

禁煙しないからと言って、風俗環境や少年の健全育成に影響はないような。
でも、二十歳未満への酒たばこの提供は風営法違反で処分対象です。

「健全育成」という言葉には身体的な育成も含まれる、と言えば、<含まれる>とも言えます。
ならば、健康増進法違反でも風営法にもとづく行政処分がありうるのか。

健康増進法違反には刑事罰の定めがありません。
刑事罰対象だとしたら司法警察が関与する余地がありますが、行政処分のみとなると、そこは保健行政の
裁量権の範囲となります。

よその行政官庁の裁量権にちょっかいを出すようなことは、一般的にはばかられます。
そもそも警察は健康増進法については専門外です。

公安委員会による行政処分については警察庁が基準を定めていますが、その基準の中にこれから
健康増進法違反の場合の基準が盛り込まれることはないと思います。
だからと言って、健康増進法を軽視して欲しくはないですけれど。

 

 

風営法研究会
研究員 日野孝次朗

記事一覧へ戻る
PAGETOP