風営法研究会
これまで中小事業者は義務ではなかったパワハラ対策が2021年4月から義務化されます。
それらの対策の中で柱となるのが相談窓口の設置です。
ハラスメントの相談に応じる機関があって、そこでハラスメントの実態を調査し、
もしハラスメントが行われていたことが判明したら、就業規則に基づいて処分などする。
そういう発想のようですが、さて大丈夫でしょうか。
たとえば。上司からパワハラをされたという相談があり、会社で調べようとしたが、
加害者に質問したところパワハラの事実を認定できなかった。
被害者はイヤな思いをしたかもしれない。ストレスも受けているかもしれない。
でもパワハラが確認できないからこれで終わり。
その後、どうなるでしょう。上司は部下への冷たい態度をさらに強め、部下は職場にいることが
さらに苦痛になって絶望する。
その部下が退社して別の人がまた部下になり、またいやな思いをする。
でも、上司はパワハラはしていないことになっている。
法律がやれというから相談窓口を設けた。
そして、法律の定義でパワハラの有無を判定し、法律上のパワハラが起きていなければ無視する
ということをやってしまったら、相談窓口にはどんな意味があるのでしょう。
要するに、相談窓口を設置するのであれば、社員が能力を発揮しやすい職場環境を実現するために
有効活用するのが合理的な発想だと言いたいだけです。
職場の雰囲気の良しあしは風営法違反リスクと密接な関係があります。
法律に従ってイヤイヤやらされるようなハラスメント対策にはなりませんよう。
風営法研究会
研究員 日野孝次朗