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風営法コラム
2022.12.06

098.コラム 風営法万歳! ~ 客室の部分的閉鎖が「客室の床面積変更」に該当するか

ホールにおける島設備等の取扱いについて、ホール関係4団体から警察庁に対し照会を行い、これについて
ご回答(2022年11月22日)をいただいたとのことです。

 タイトルは「ホールにおける島設備等の取扱いについて(回答)」となっています。

 風営手続きについてのことなので、法務担当者でないと意味を理解しにくいとかと思いまして、要点のみを
簡単に解説しておこうと思います。

 今年(2022年)11月21日からのスマートスロット(スマスロ)の稼働開始を目指して、全国の導入店舗で
構造設備の変更作業が行われましたが、それに際して構造設備変更等に関する法的な解釈に疑義が生じることが
増えたことから、問題になりやすい二つの点について警察庁が回答した次第です。

 一つ目は「客室の床面積の変更への該当性」という内容ですが、正式の回答文は難解な長文なので、業界団体
さんの通知文の中の太字部分に注目しましょう。以下に抜粋します。

 「遊技機等の入替え工事が行われたり、周辺機器が遊技機に先立って設置されたりすることにより、一時的な
措置として部分営業を行う場合については、客室の床面積の変更に該当しないと解される。」

 客室床面積を変更しようとする場合、つまり、<客室の範囲が変化してしまう構造設備の変更>を行おうとする
場合の風営法の手続きは、変更する前に公安委員会に変更承認申請を行い、変更後に必要な検査を受け、そのおおむね
10日後に承認を受けた後にようやく使用を開始できる、という運用になっています。

 変更承認申請は申請手数料がかかるほか、変更(工事作業)してから公安委員会の承認を受けるまでの期間に
わかって営業活動が一部制限を受けてしまう可能性があります。その制限の内容は変更の状況によっていろいろ
ですが、営業の現場としてはときに重大な支障がでる恐れがあります。

 「客室の床面積の変更」はまさに<承認を要する構造設備の変更>にあたります。

 たとえば、遊技機や周辺機器を設置している場所は「客室の内部」にあたりますが、営業中にそういった場所で
作業を行う場合は、その作業スペースにお客様が立ち入ると危険ですから、立ち入り防止措置を取ります。

 「客室」は遊技客が遊技するために必要な場所と解釈するのが一般的ですので、その「お客様が立ち入れなく
なった場所」は一時的とはいえ<客室としては使用できない場所>になってしまいます。

 つまり、その閉鎖された部分は<客室ではない>ということになり、そのような<変更>を行いたいのであれば
変更承認申請という手続きを事前に行わなければなりません。

 しかし、これではホール側の負担が大きすぎるので、数時間か数日かわかりませんが「一時的に」客室内の一部
を工事作業などのために閉鎖するとしても、その場合は「客室の床面積の変更」には該当性しない、という考え方
が回答文によって明確になりました。

 見方によっては「当たり前のことをくどくど説明している」ようでもあるし、そもそもこういった質問自体が
「考えすぎ」というふうに思えなくもないですが、最近は法令を過度に厳密に解釈する傾向が一部に感じられ、
そういったことを念頭においた質問と回答であったと思います。

 二つ目の点は、「一時的に営業の用に供されなくなった島設備は、「見通しを妨げる設備」に該当するか。」
ですが、こちらは次回のコラムで解説したいと思います。

 

 

風営法研究会
研究員 日野孝次朗

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