風営法研究会
人手不足が深刻ですが、世の中では無人化が徐々に浸透しています。
店内の様子を監視カメラを通じてスマホで確認できたり、商品決済も無人のレジで対応したり
といった世の流れのなかで、風俗営業の無人化はどうなのでしょう。
風俗営業のなかでも1号営業は接待を伴うので、店舗側の人員がゼロと言うことは考えにくい
ですが、パチンコ店営業を含むその他の営業では、法律を無視していいなら無人でもサービス
提供が可能です。
しかし、風俗営業許可を受けて営業を行うにあたっては、関係法令を遵守して営業しなければ
なりません。
例えば、18歳未満の客が入店した場合にどう対応するのか。
入店時にカメラ映像で確認を行い、年少者が立ち入った際には音声で退店を呼び掛け、それでも
退店しない場合には近隣からスタッフが駆けつける。
賞品交換も自動化し、客が不正を行った場合も同様に対応する。
結果として法令違反が発生すれば、営業者がその責任を負いますから、無人化するかしないかは
営業者が判断すればよい、という発想はありえます。
しかしまだ問題点はあります。
風営法では風俗営業所ごとに管理者を選任しなければなりません。
風営法施行規則では次の一文があります。
(風俗営業に係る営業所の管理者の選任)
第三十七条 法第二十四条第一項の規定により選任される管理者は、営業所ごとに専任の管理者
として置かれなければならない。
「営業所ごとに専任の管理者としておかれなければならない。」
の部分が重要です。
これについて解釈運用基準では次の一文があります。
「施行規則第37条中「営業所ごとに専任」とは、その営業所に常勤して管理者の業務に従事し得る
状態にあることをいう。」
つまり、管理者は営業所に常勤していなければならないのです。
「常勤」ということは、常に勤務しているということです。
もちろん、休暇を取ったり、休憩しているときなどは、ほかの従業員に管理者の業務を任せるのも
仕方ないですが、基本的にその営業所の管理者の仕事に専念している状態でなければなりません。
管理者がほかの営業所の管理者を兼任していたり、副業していたりするのは問題あり、ということです。
但し、解釈運用基準では
「2つの営業所が接着しており、双方の店を同時に統括管理することができ、管理者の業務を適正に
行い得る場合にあっては、当該管理者を同一人とすることも可能である扱いとする。」
とありますので、管理者の業務を適正に行いえるかどうかが重要です。
「常勤」の意味について、将来的には「営業所に所在していなくてもよい」という意味で解釈できる
可能性がなくはないとも思いますが、現状では難しいでしょう。
法令を改正するか、警察庁が解釈を変更するといったことが必要になりそうです。
風営法研究会
研究員 日野孝次朗