風営法研究会
パチンコ店営業は風俗営業の種別の第4号に該当します。
第4号の定義は次のとおりです。
「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」
この営業を行うには公安委員会の許可が必要になります。
言い換えれば、営業許可があれば、この営業をしてもよいということです。
第4号営業はパチンコ店営業だけではありません。
「客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」には麻雀屋営業も射的場もありますが、
ほかにもいろいろありえます。
麻雀屋営業では「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない(風営法第23条第2項)」
とありますが、麻雀屋以外の第4号営業ではパチンコ店や遊技場と同じく、
「遊技の結果に応じて賞品を提供」することが想定されています。
だとすると、ゲームセンター営業でよく使われているメダルゲーム機で客に遊技させ、
その遊技結果に応じて賞品を提供する。
こういった営業を第4号の営業として許可を受けて行うことは、風営法を読む限りはありえ
ます。
その場合は風営法施行規則第8条の「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」に
該当しない遊技機を設置して行うことが求められますが、その基準の中の「その他の遊技機」
の基準は次のとおりです。
一 一分間に四百円に当該金額消費税等相当額を加えた金額の遊技料金におおむね相当する
数を超える数の遊技球等を使用して遊技をさせることができる性能を有する遊技機であること。
二 一回の入賞により獲得することができる遊技球等の数又はこれに相当する数値が入賞に
使用した遊技球等の数の十五倍を超えることがある性能を有する遊技機であること。
三 役物の作動により著しく多くの遊技球等又はこれに相当する数値を獲得することができる
性能を有する遊技機であること。
四 獲得することができる遊技球等の数又はこれに相当する数値のうち役物の作動によるもの
の割合が著しく大きくなることがある性能を有する遊技機であること。
五 短時間に著しく多くの遊技球等又はこれに相当する数値を獲得することができる性能を有
する遊技機であること。
六 客の技量にかかわらず、遊技球等又はこれに相当する数値の獲得が容易であり、又は困難
である遊技機であること。
七 客の技量が遊技の結果に表れないおそれが著しい遊技機又は遊技の結果が偶然若しくは
客以外の者の意図により決定されるおそれが著しい遊技機であること。
八 容易に不正な改造その他の変更が加えられるおそれのある遊技機であること。
以上の基準に該当していない遊技機であることが公安委員会によって確認されることが手続き
上必要になりますが、さて、それをどうやって行うかです。
メダルゲーム機はこの基準を想定して製造されたものではないでしょうし、そもそもこの基準
にはあいまいな点がありますから、この基準を満たす遊技機をこれから製造することも困難です。
よって実際には行政庁との協議により、この基準に適合する遊技機の在り方を検討しながら
遊技機を開発するか、または既存の遊技機を上記基準に該当かできるように改変するか、
といったことを検討することになりそうです。
いずれにせよ第4号の営業に新たな分野を創造することは容易ではないということです。
なお、以上の話はパチンコ遊技機やメダルゲーム機など、「遊技球等の数量又は数字により
遊技の結果を表示する遊技機(施行令第8条)」の場合のことであり、これら以外の遊技機に
ついては具体的な基準が法令上見当たりません。
例えば、ゲームセンターに置かれたUFOキャッチャーなどのクレーン式ゲーム機では1000円
以下の賞品しか提供できませんが、1000円よりも高額な賞品を提供する営業が第4号営業と
して許可されうるのか。
ありうると思うのですが、これについてはさらに勉強してから語ります。
風営法研究会
研究員 日野孝次朗