風営法研究会
「アオザイ」着て接客 ガールズバーを無許可営業か ベトナム人経営者ら17人逮捕 湯島・上野などに5店舗
https://www.tokyo-np.co.jp/article/361619
最近このような↑ニュース記事が出ていました。
ベトナム人女性らがガールズバーで、おそらくは「接待」をしていて、それが無許可風俗営業であった
という容疑での摘発と推測します。
接待をすれば風俗営業(社交飲食店)、接待がなければ風俗営業ではない。
ところが、ことは風営法だけの問題ではなく、入管法も絡んできます。
経営者を含め17人もの多数が逮捕された背景には、この方々が外国人であり、入管法違反容疑も関係して
いると思われるのです。
というのも、永住者や定住者などの一定の在留資格でないと、風俗営業では就労することができない法制度
になっているので、風俗営業店で留学生や技能実習生が働いていたら入管法違反である可能性が高いからです。
例えば留学生の場合、在留の目的が「お勉強」ですので原則として就労は認められませんが、
「資格外活動の許可」があれば一定の範囲で就労が認められます。
しかし、その資格外活動の許可は風俗営業など風営法に定義される一定の営業では認められないことに
なっています。
以下、関係法令を抜粋。
入管法第19条第2項
出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、
当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業
を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めると
きは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を
付することができる。
入管法施行規則第19条第5項
法第十九条第二項の規定により条件を付して新たに許可する活動の内容は、次の各号のいずれかによるものと
する。
(1)一週について二十八時間以内(留学の在留資格をもつて在留する者については、在籍する教育機関が学則
で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を
受ける活動(風営法第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは
同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの又は同条第七項に規定す
る無店舗型性風俗特殊営業、同条第八項に規定する映像送信型性風俗特殊営業、同条第九項に規定する店舗型
電話異性紹介営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事するものを除き、留学の
在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る。)
以上
風俗営業、特定遊興飲食店営業、性風俗系営業では資格外活動が許可されないことが法令で明記されています。
パチンコ店も風俗営業であり、同じく資格外活動が許可されないので、留学生がパチンコ店で働くことは法令上
ありえません。
ところがです。
風俗営業にあたらないガールズバーなら、資格外活動が許可される可能性があります。
ガールズバーは本来の意味として接待をしないので、「クラブ」ではなく「バー」なのです。
しかし、「バー」のフリをして実際はキャバクラのごとく接待をする店があって、これらが無許可営業として
摘発を受けるケースが多いのです。
さて。ホール業界にとってはどうでしょう。
パチンコ店営業では「接待」はさせませんし、性的なサービスなんてもちろんありえませんが留学生の就労は
絶対ダメ。
しかし、ガールズバーなら接待をしない限り留学生が就労を許可される可能性があるのです。
これって不公平ではありませんか?
なぜ、外国人留学生がパチンコ店で働いてはいけないのか。
18歳未満の高校生であっても、夜10時までならパチンコ店で合法的に働かせることが可能であるのに。
実際に外国人労働者が必要かどうか、ということよりも、パチンコ店営業が今だにこのような社会的位置づけ
であってよいのか?
ということが気にかかります。
このあたりのことは堂々と議論してよいのじゃないかと私は思います。
風営法万歳!
風営法研究会
研究員 日野孝次朗