けんぱち研究会
ロイター通信によれば、2012年6月27日、米国食品医薬品局(FDA)はArena Pharmaceuticals社の体重管理薬ベルビークを抗肥満薬としては12年ぶりに承認しました。ベルビークはBMIが30以上の成人患者やBMIが27以上で高血圧・2型糖尿病・脂質異常症等の肥満関連合併症を1つ以上有する成人患者に適用されるものです。今後ベルビークは指定薬物(scheduled drug)に分類される予定で、麻薬取締局(DEA)によるレビューが完了してから発売されます。しかし、消費者団体は他の多くの肥満抑制薬と同様、心臓弁膜症などの多数の重大副作用を懸念して、ベルビークも販売停止となるだろうとコメントしています。
抗肥満薬はこれまでサノレックス、リダクティル、ゼニカルなどが開発されています。このうち、サノレックスは厚生労働省で認可され日本国内でも使用されています。サノレックスは摂食中枢に直接作用して食欲を抑制します。しかし2か月ほどで耐性ができ食欲が戻ってしまうので内服は最大3か月までとされています。リダクティルは抗うつ剤をベースに開発された食欲抑制剤で、脳内のセロトニンの働きを整え、食欲を低下させ、過食を軽減します。またノルアドレナリンの再吸収を抑制することで代謝を上げ、脂肪燃焼効果を発揮します。
このように抗肥満薬は中枢神経系に働きかけ「欲求」や「渇望」を抑制しようというものが多いので麻薬取締局のレビュー云々が出てくるわけです。ギャンブル依存症(病的ギャンブリング)でも「欲求」や「渇望」のコントロールが課題ですが、エンドルフィンなどのオピオイド拮抗薬が注目されているものの、FDAによって認可された病的ギャンブリングの治療薬はまだありません。以下が思い当たる方はご注意ください。
・今までに、パチンコで負けたとき、負け分を取り戻すために、またパチンコをしたことがある。
・今までに、自分に賭け事やパチンコの問題があると思ったことがあるか、その問題を人に指摘されたことがある。
・今までに、パチンコのためか、パチンコの借金を返すために、家計からお金を借りたことがある。
諏訪東京理科大学 教授 篠原菊紀氏