けんぱち研究会
米国線虫(Cエレガンス)をつかって一滴の尿でがん診断という研究が話題になっています。
線虫にはがんの匂いをかぎ分け、好んで近づく性質があるからうまくいくんだそうです。
線虫に匂いが感知できるなら、何らかの物質がガン患者の尿中にあるわけで、
それが特定できれば、微量タンパク質解析技術などでもいけそうです。
微量タンパク質の解析は、ノーベル賞の田中先生らが行っており、
血液一滴で認知症を調べることに成功しており、
同じ技術ががんにも、ほかの疾患にも使えてくるかもしれません。
ことに線虫は遺伝子配列が完全にわかっていて、その数も多くないので、
遺伝子側からどんなタンパク質に反応しているのか、ガンごとの特異性は?など
様々明らかになりやすく、期待大です。
ちなみに、あのグルコサミンで線虫の長寿化に成功したとの報告も昨年あり、線虫、大活躍です。
さて、最近、このコラムで繰り返しお伝えしてきたことを実証する研究がまた報告されました。
カロリンスカ研究所のミリア・キビヴェルトらは、1260人の60-77歳高齢者を二つのグループに振り分け、
一方には健康的食事・運動・脳トレ・血圧などの血管疾患リスク因子管理を行ない(介入群)、
一方には健康相談のみを行いました(非介入群)。
2年間の追跡調査の結果、認知機能テストの全般的成績で、介入群は非介入群に比して25%成績がよく、
特に実行機能では83%、反応速度では150%、非介入群の成績を大きく上回りました。
これまで、運動は運動の効果を、食事は食事の効果を、脳トレは脳トレの効果を調べることが多かったわけですが、
最近ではこうした総合的な介入研究のスタイルが多く、また結果も良好です。
脳トレ、運動、バランスのいい食事、血圧など健康管理が脳を守り、鍛えるわけです。
諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授