けんぱち研究会
オキシトシンは信頼ホルモン、愛着ホルモンなどと呼ばれ、信頼できる人の声を聞いたり、頭をなでられたり、
スキンシップしたり、見つめ合ったりすると分泌を増します。
また鼻にスプレーすると、人を信じやすくなったり、人の気持ちが読みやすくなったりすることも知られ、
東大と金沢大のチームは、オキシトシンを鼻腔にスプレーすることで自閉症でのコミュニケーション能力改善を
目指しています。
どうやらこの仕組みは人同士に限定されるわけではなく、イヌとその飼い主の間でも成り立ちそうです。
麻生大の研究で、見つめ合う時間を過ごすと飼い主、イヌともにオキシトシンのレベルが上がったとか。
またイヌにオキシトシンをかがせると、飼い主をより長く見つめるようになり、さらに見つめられた飼い主の
オキシトシン分泌が増したとか。
イヌとの見つめあいはどうやら互いの愛着を増すらしいのです。
ちょっと興味深いことには、オキシトシンを嗅いで飼い主をより見つめる様になるのはメス犬に限られており、
オス犬の行動は変化しなかったそうです。
人の実験で、オキシトシンを嗅がせると、パートナー以外の異性を遠ざけるようになることも知られているので、
メスの飼い犬と長く見つめあうと、そのメスイヌがオスイヌに近づかなくなったりするのかもしれません。
また飼い主のほうも「パートナーよりイヌ」となったりするのかもしれません。
イヌとの見つめあいで癒されているみなさん、お気を付けください。
もっとも、かわいいものを見ると、集中力が増すとの研究がありますから、仕事力アップにイヌとの見つめあいは
大切かもしれませんが。
Dogs hijack the human bonding pathway. Science 17 April 2015: Vol. 348 no. 6232 pp. 280-281
Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds. Science 17 April 2015: Vol. 348 no. 6232 pp. 333-336
諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授