けんぱち研究会
以下はパチンコ店における依存(のめり込み)問題対応マニュアルに記載されている、自己診断チェック表です。
1.パチンコやパチスロを、やめたり、遊ぶ回数を減らしたりすると、イライラして落ち着かなくなる。
2.パチンコやパチスロを、やめようとしたり、遊ぶ回数を減らそうとしたりするが、ムダな努力に終わっている。
3.パチンコやパチスロを打っているときのことが繰り返し頭に浮かび、次回どうやって打とうか、
どうやって資金をねん出しようかといったことが、頭から離れない。
4.孤立感、罪悪感、不安、抑うつ感などの苦痛を感じると、パチンコやパチスロに逃げ込むことが頻繁にある。
5.パチンコやパチスロでお金を失うと、負けを取り戻そうとして、別の日にまたパチンコやパチスロに
行くことが頻繁にある。
6.パチンコやパチスロにひどくのめり込んでいることを隠すために嘘をつく。
7.パチンコやパチスロにひどくのめり込んでいるせいで重要な人間関係や仕事、教育または職業上の機会を
危険にさらしたり、失ったことがある。
8.パチンコやパチスロによって引き起こされたどうしようもない金銭的な危機状況をのがれるために、
誰かにお金を出してくれるよう頼む。
このままチェックをつければ、パチンコユーザーの多くがチェックだらけになります。
そういう方法で全国調査をすると過去そういったことが一度でもあればチェックがついてしまいますから、
パチンコユーザーの半分強、536万人が依存の疑いがあるといった話が出てしまいます。
そこで、自己診断チェック表では二つの但し書きがあります。
ひとつは、「設問は、1年以上前のパチンコ・パチスロ行為は該当しない」という「注」。
もっと大事なのは、チェック表の頭に書かれている、「以下の項目が過去12か月間、ずっと続いていたり、
繰り返されたりしていて、そのことが臨床的に重大な健康上の障害や苦痛を引き起こしている場合にチェックを
つけてください」という文言です。
そもそもの依存チェックにはこの文言がつきものなのに、世の中に出回っているチェック表ではこの記載が
落ちがちなので、過剰な数字が出てきてしまいます。
さらに、テレビや雑誌、依存の本で紹介される依存症の方は、この自己診断チェック表でいう6,7,8の
ようなことを繰り返し、繰り返し行い、何度尻拭いされてもやめられないようなケースですが、
536万人という数字とそういうケースの紹介が並んで行われるので、
世の中ではこういう人が536万人いるかのような、ホールの半分はこういう人であるような勘違いが生じています。
そして、もしそれが事実なら、ホールユーザーは速やかに破たん。
ホールがよいなど続けられませんから、営業は成り立たない。
ですから、いわゆる依存調査できちんとやっておくべきことは、6,7,8がずっと続いていたり、
繰り返されたりしていて、そのことが臨床的に重大な健康上の障害や苦痛を引き起こしている人の数の把握です。
おそらく皆さんのホールにこういう人はほぼいないはずですから、
各ホールがそういう調査をしておくことが世の中の批判と対峙するときのエビデンスとして大事になります。
諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授