けんぱち研究会
脳にとって「鉄」は重要です。
酸化代謝、髄鞘形成、神経伝達物質合成など、脳機能の複数の側面に鉄は不可欠だからです。
実際、大脳基底核の鉄濃度は、老化や認知障害の神経変性障害と関連していることが知られています。
しかし、思春期における脳の鉄濃度と発達、認知との関係はあまりよく理解されていません。
そこで、下記の研究では、最初の訪問時8~26歳の922人(M = 15.1、SD = 3.72; 336人の男性、486人の女性)
について縦断的に調査を行いました。
尾状核、被殻、側坐核、淡蒼球を含む4つの大脳基底核で鉄濃度を測定したところ、すべての領域で発達に講じた
鉄濃度増加が認められ、被殻の鉄濃度は個人の認知能力の散らばりと有意に関連しており、認知能力の向上は
思春期後期および若年成人期の鉄濃度の増加とかかわることがわかったそうです。
脳にとって「鉄」は重要であることが再認識されます。
Longitudinal development of brain iron is linked to cognition in youth
Bart Larsen, Josiane Bourque, Tyler M. Moore, Azeez Adebimpe, Monica E. Calkins,
Mark A. Elliott, Ruben C. Gur, Raquel E. Gur, Paul J. Moberg, David R. Roalf, Kosha
Ruparel, Bruce I. Turetsky, Simon N. Vandekar, Daniel H. Wolf, Russell T. Shinohara
and Theodore D. Satterthwaite
Journal of Neuroscience 27 January 2020, 2434-19
公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授