けんぱち研究会
ストレスで白髪になるといった経験話や逸話は山のようにあります。
しかし、ストレスと白髪化をつなぐメカニズムは十分に分かっていませんでした。
ハーバード大のHsu YCらはそのメカニズムを探るべく、ストレス→コルチゾール分泌、を促す副腎を除去しました。
しかし、白髪化はなくなりませんでした。
また、ストレス→免疫系によるメラニン細胞攻撃、を促すことにかかわるT細胞、B細胞、ミエロイド系細胞
(マクロファージ、好中球など)を欠くマウスでも、ストレスを与えると白髪化したそうです。
結局、関与が明らかになったのは、ストレス→交感神経(ノルアドレナリン)、の経路でした。
ノルアドレナリンの分泌によって、静止期のメラノサイト幹細胞が急速に増殖、その後、分化、
移動して、メラノサイト幹細胞が永久的に枯渇するそうです。
実際、メラノサイト幹細胞の増殖の一時的な抑制を行うと、ストレスによる髪の白髪化を防げたそうです。
しかし、謎は残っており、ストレスを脱しても色素幹細胞の枯渇は永続するため、このメカニズムでは
黒髪化は起きないそうです。
白髪化のメカニズムは、ノルアドレナリン系に限らず存在する可能性があり、まだまだ研究が必要とのことです。
Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells.
Zhang B, Ma S, Rachmin I, He M, Baral P, Choi S, Gonçalves WA, Shwartz Y, Fast EM, Su Y, Zon LI, Regev A,
Buenrostro JD, Cunha TM, Chiu IM, Fisher DE, Hsu YC.
Nature. 2020 Jan;577(7792):676-681. doi: 10.1038/s41586-020-1935-3. Epub 2020 Jan 22.
https://higeoyaji.at.webry.info/202002/article_9.html
公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授