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けんぱちコラム
2022.01.24

127.「遊技障害のおそれのある人」と臨床例等との乖離と予防について、その⑫

前回のコラムの続きです。

以下、遊技障害研究最終報告書、西村先生の論考からの引用です。

海外の調査・研究では、これまでの調査データが人種や地域に偏りがあり、世界全体で対策を進め、
その知見を共有するための障壁となっているとの課題が国際学会でおいても議論となっており(Bernhard, 2019)、
世界のギャンブリングに関連した健康問題の全体像は、いまだに明らかになっているわけではなく、
諸外国の調査・研究結果が、日本そしてパチンコ・パチスロに関してどの程度一致するものなかも明らかではありません。

本研究会の調査結果のなかでは、パチンコ・パチスロ遊技障害または日本のプレイヤーの特徴と推測される
データも得られています。このような違いを丁寧に積み重ねていくことが国内外での対策の進歩につながるであろう。

海外の研究では、電話相談や短期介入などの、比較的簡易な形態で提供される介入・問題解決支援サービスの
有効性も報告され、さらに、スマートフォンアプリを活用した簡易介入も行われています。

インターネットで参加するギャンブリングが拡がりを見せるなかで、より簡易的で効果が期待できる介入手法の
重要性が増しています(O’Neill, 2017; Abbott, 2018)。
簡易介入の土台には、ギャンブリング障害の基準を満たす状態になった人であっても自己修正の可能性、可塑性がある
という考え方とそれを支持する根拠(Abbott, 2018)が存在しています。
自己制限や自己排除などの、プレイヤーの自発的対処の有用性も認められています(Tanner, 2017)。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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