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けんぱちコラム
2022.09.20

135.10年の依存研究でわかったこと、その④

前回のコラムの続きです。
遊技障害(パチンコ・パチスロでのギャンブル等依存)研究について、Q&A形式で紹介します。

Q:パチンコ・パチスロの台を叩くなどの行為をするのは、依存傾向が強いがゆえでしょうか?
A:衝動性の現れではあります。また、衝動性は依存傾向の一要因ではあります。
 しかし、依存とか障害と言うより、危ない遊び方になりやすいくらいに考えるのが正しいと思います。

Q:依存症に重度や軽度などの尺度はあるのでしょうか?
 あるのであれば、線引はどこになるのでしょうか?
A:あります。DSM-5では4,5点が軽度、6,7点が中等度、8,9点が重度です。
 DSM-5自体ICD-11から見ると緩い基準ですが。ICD-11ではほぼ重度のみがギャンブリング障害で、
 その他は危険なギャンブリングです。

Q:仮に友人が依存と思われる状態になった場合、どうやって引き戻せば効果的ですか?
A:まず障害レベルなのか、危険な遊び方レベルなのかを見極めましょう。
 障害レベルとは、コントロール障害、ギャンブリングの最優先、否定的な結果にもかかわらず継続拡大、
 の三要件を満たし、重大な障害や苦痛が生じていることが必須です。
 その上でアセスメントが大事になってきます。単に快感条件付けの問題なのか(これは危険な遊び方
 レベルが多い)、元々金銭管理が苦手、気が散りやすいなど発達的問題が背景にあるのか、生き辛さ
 があるのか、不安問題があるのか。こうした背景障害がある場合にはそこへの対処、環境調整が重要
 になります。やめる、を目標にするとうまくいきません。
 危険な遊びレベルの場合は、「失っても構わない範囲でパチンコ・パチスロをしましょう」「他に優先
 すべきことがある時はそちらを優先しましょう」「どこまでお金を使って良いか決めてから打ちましょ
 う」「家族や友人に対して嘘やごまかしなくパチンコ・パチスロをしましょう」あたりで当面はいいと
 思います。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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