けんぱち研究会
脳の働きを示す認知機能テストの成績は20歳くらいをピークに歳とともに低下し、特に60歳以上
で大きく低下する傾向にあります。
WHOは認知機能の低下を予防するためのガイドラインを発表し、運動、禁煙、健康的な食事、
アルコール使用障害への介入、認知的なトレーニング、過体重、高血圧、高脂血、高血糖への
介入を推奨しています。
他にも、口腔衛生、社会的つながり、難聴への対応、うつへの対応、睡眠などが頭の働きの低下
予防に役立つ可能性が指摘されています。
そういった中で、少し変わった予防法の可能性が報告されました。それは「合唱」です。
以前から合唱を行うと、聴覚や認知機能、幸福感を高め、加齢に伴う認知機能の低下を抑制する
ことが示されてきました。
加えて、最近の論文で、合唱をすると、どの年齢層でも、神経細胞同士の接続が強くなり、
神経細胞をつなぐ白質という部分が大きくなることが報告されました。
年齢を重ねると、神経細胞同士のつながりが悪くなり、それが頭の働きの低下につながりますから、
合唱体験が深まるほど、この神経接続が強くなる結果は興味深いものがあります。
したがって、合唱サークルへの参加はもちろん、カラオケでの合唱やデュエットなどもおすすめです。
他の研究では、歌唱そのものの効果も示されているので、とにかく歌うことがおすすめです。
また、音楽とリラックス、認知機能などの関係を調べた研究では、どの音楽が良いというより、
好みの音楽が良い、という結論が多いです。
ですから、自分の好きな曲をたくさん歌いましょう。
公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授