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けんぱちコラム
2025.06.17

168.笑いが脳と身体に与える効果とは?

《笑いが脳と身体に与える効果とは?》

笑うと、脳内では「報酬系」が活性化します。
報酬系は、脳の奥の腹側被蓋から快感に関わる側坐核を経由して、前頭葉など脳全体に広がる
ドーパミン神経系です。笑うときの楽しい気分は、この報酬系が活性化していることによります。

興味深いのは、報酬系は「面白い!」と思ったときだけでなく、好きな芸人さんが出てきたときや、
友達と話す前のワクワク感といった「これから良いことが起きそう」という予感でも活性化する
ことです。これを「報酬予測」と呼びます。

しかし、期待していたのに実際には面白くなかった場合、脳は報酬予測と実際の報酬の差を計算して、
報酬系の活動を止めてしまいます。
これが繰り返されると飽きが生じ、芸人さんなど笑いを提供する側には大きなハードルとなります。

また、本当に笑っているときには目と口の両方の筋肉が動きますが、うそ笑いでは目の周りの筋肉
(眼輪筋)が動かず、「目が笑っていない」状態になります。
こうした筋肉の動きも、脳幹などからの命令によって起こります。

笑いには健康面での効果も多くあります。脳内でエンドルフィンが分泌され、
痛みの軽減やリラックス効果をもたらします。
ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられ、ストレスの緩和や免疫力の向上も期待されます。
さらに、心拍数の上昇や血流の促進、筋肉の緩和など、軽い運動のような効果もあります。

うそ笑いでもある程度の効果があり、笑顔を作るだけでドーパミンやエンドルフィンの分泌が少し増え、
ストレスが軽減されることが分かっています。鉛筆を横にくわえて笑顔の形をつくるだけでも、
読んでいる本がより面白く感じられるという報告もあります。意識的に笑うことは心身の健康に有効だ
といえます。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授

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