けんぱち研究会
《ギャンブリング障害と遺伝の関係、その⑥》
※前回のコラムの続きです。
結論
近年の研究により、ギャンブリング障害の発症には約半分程度の遺伝的要因が関与し、残りは個人固有の
環境要因によって説明されることが明確になってきました。
双生児・家族研究は強い遺伝的素因と家族内集積を示し、ゲノム解析からは明確な単一遺伝子は見出されて
いないもののドーパミン系など複数の経路に関連するポリジェニックな影響が示唆されています。
さらに、遺伝と環境(ストレスやトラウマ、他の精神疾患など)の相互作用がギャンブリング障害リスクを
高める複雑なメカニズムが浮かび上がってきました。
これらの知見は、将来的な早期スクリーニング、リスクに応じた予防策、そして個別化治療の可能性を開くものです。
最後に、わが国のギャンブリング障害支援のさきがけであり、2000年くらいまでは12ステップ的な
断ギャンブリングをすすめてきたが、その背景に発達問題などがあることに気付き、
丁寧なアセスメントと個別支援に舵を切った、ワンデーポートの中村さんの提言を紹介します。
【国の啓発】
依存症は脳の病気です
欲求をコントロールできなくなる病気です
やめ続けることが大事です
自分たちだけで悩まず専門の機関に相談しましょう
【私(中村さん)が考える啓発】
睡眠、バランスのとれた食事、運動を意識しましょう
不安なことがあれば周囲に相談しましょう
複数の遊びを持ちましょう
ギャンブルをやめる、やめないに過度にこだわるのはやめましょう
ストレスになっていることに向き合い、生活環境、職場環境の改善に努めましょう
ギャンブル依存症と言わずに相談機関、医療機関に行ってください。
私(中村さん)が家族によく言う言葉です。
その人のギャンブルへののめり込み行動ではなく、
たとえば、
義務教育過程の勉強ができなかった。自己決定が苦手。片付けが苦手。対人不安が大きい。
仕事が続かない。金銭管理が苦手。◯◯障害の診断を受けたことがある。
このような課題に着目して、相談機関支援機関、医療機関を探してほしいです。
(相談機関がギャンブル依存症にしてしまうなら、別の相談機関を探しましょう)
【これは私の意見】
ちゃんと、子どものころからアセスメントして、発達問題など背景障害はきちんと把握して、
より生きやすいように親も周囲も変わった方が、みな幸せと思います。
せめてこの辺は聞きましょう。
・幼少期・学童期の特徴
忘れ物や遅刻が多かったか?
集中が続かない、落ち着きがなかった?
勉強や宿題に苦手意識があったか?
衝動的に行動してしまうことが多かったか?
・学校生活・対人関係
いじめやトラブル経験
教師や親からの注意頻度
友人関係の持続性
・学業成績と得意・不得意
特定の教科への苦手意識(計算、読み書き)
成績のばらつき
・家族歴
ADHD、学習障害、ギャンブル障害、アルコール問題などの既往
養育者の一貫性、しつけスタイル
公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授