遊技機研究会
遊技機研究会の(有)ノブ・石川です。少しコラム提供の間があいてしまいましたが、
今回のエントリーでは、本日は年度末ということで、今後、「最後のMAXです!」
という死後にも近いメーカーの営業トークに揺るがないために(苦笑)、
今回の日工組による遊技機仕様に関する「自主規制」の内容について触れたいと思います。
当研究所に関わる方々にとっては重々承知の今更な内容も含みますので、
時系列で、簡略化したかたちで書いていこうと思います。
一気に流れが傾いたのは、昨年の10月にあった当業界を取り上げた国会答弁。
この流れを受ける形で本年1月の業界団体会合の折に行政から発せられた以下の発言により
具体化が進み始めます。
警察庁から要請のあった3つのお願い事項
一つ、 射幸性の抑制
二つ、 置引き対策
三つ、 撤去遊技機(AT・ART機)闇賭博流出を防止する枠組みの構築
二つ目の「置き引き対策」はホール団体が主。
三つ目の「撤去遊技機」に関しては、中古機流通に関わる団体と、回胴遊技機に関わる団体が主。
さて、一つ目の「射幸性の抑制」に関しては、ホール側の取り組みとして低玉貸営業等については、
予てより事ある毎に‘是’と行政は発言しておりますし、一応の理解をしている旨の発信をされています。
で、今回は、遊技機に対しての「抑制案」を求めてきたわけです。
矛先はもちろん日工組。
※以下、「のめり込み」対策についてに対する日工組からの回答
1 射幸性の抑制に向けた取り組み (1)一次対策(『依存症』にならないための対策)
ア 遊技者の消費金額を抑える
(ア) 大当り確率の下限を上げる (現行)下限を1/400まで⇒下限を1/320まで
日本遊技機工業組合
(イ) 初回の大当りの獲得遊技球数の最低限の値を確保する(注1) (現行)基準なし⇒下限を1/3以上、
かつ600個以上とする(1/261~1/320の遊技機) ⇒以下の1、2の制限を削除する
1 大当り確率(実質確率)Mrの算出に必要な大当りの定義 最少の出玉が最大の出玉の1/4以上
2 大当り確率(実質確率)Mrとソフト上の大当り確率MLとの関係 ML/Mr≦1.3
《根拠・効果》
1 初回の大当りまでの消費金額を抑える
2 大当り確率の下限を上げることで、遊技機の性能として、獲得賞品総額の期
待値が下がる (注1)対象機種は、獲得遊技球数の期待値が、6400個を超えるものとする
*上記(ア)、(イ)に該当しない機種の販売は、平成27年10月31日までとする。
平成27年 3月 4日
これに加え、≪ア の(イ)≫の獲得遊技球数の総量について、いわゆる<V 確 ST機>に関しては、
ヘソ賞球3個の場合は「初回当りを含めず6,800個」といった様な自主規制を実施することとなったわけです。
今回の≪自主規制≫の目的が「遊技金額を抑える」ことにありますので、当然ですが、
遊技機個体に期待できる売上げは減少します。
そうですね… 初当りで600個持てる1/320の仕様となりますので、
想定される玉単価は1.5円程度になるでしょうか。
総量も抑えますので、明確にスペックダウン。
これに伴い、では、遊技機価格も下がる?という事は残念ながら100%ありえません。
稼働玉数が「射光性の抑制」に比例して上昇すれば売上げの維持、上昇は見込めることになるわけですが、
昨今の遊技場環境を鑑みるに、相応の稼働上昇が見込めるという楽観論は到底想像できません。
パチスロは既に同様の遊技機環境が段階的に進んでいますが、パチンコも…となりますと、
来年以降の営業計画は相当の覚悟が必要となってきます。
中古機に関しては、現在、『遊技機の転売益』を含めた予算編成を行っている法人は
大きな打撃を受けることとなりますが、チェーン店内、法人内の移動を含め、
『中古を買う』側の小規模店も、今後はそれなりの制約を受けることとなり、
やはり、業界全体として厳しい状況が想定されます。
このあたりを十分念頭に、来期の、特に下期の予算編成は組んで頂ければなと。
遊技機研究会 研究員 石川 忍 氏